さとう特許商標事務所

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自動運転の特許出願をテキスト分析で対比してみる

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前回、特公平7-85280(特願平4-229201)(以下、公報例1)を初歩的なテキスト分析してみました。

自動運転の分野で異なる公報を同じようにテキスト分析するとどうなるか、対比してみましょう。

公報例1の審査の際に先行文献として引かれている特開平4-274935(以下、公報例2)で試してみます。実際には、同じ案件の特許第2934330号公報で試しました。いわゆる一発特許査定なので、特許請求の範囲、明細書の記載は同じです。公報例2は、29条の2で引かれているようなので、公報例1の補正前の請求項に記載の発明は、公報例2の全文と対比されて、いずれかに記載されていると認定されています。

公報例2の特許請求の範囲の請求項1は、
「車両の走行中において車両の走行路面を撮像し、撮像により得られた道路画像情報を多数の小領域に分割し、この分割された分割領域毎に、この分割領域における道路部分の存在情報を示した道路データを作成する道路データ作成手段と、前記分割領域毎の各道路データを、前記分割領域のそれぞれに対応して入力する複数の入力素子と、前記車両の挙動を決定する操作値を出力とする出力素子とを有するニューラルネットワークとを有することを特徴とする車両の操作量決定装置。」
です。

特徴的なのは、走行路面を撮像した画像を小領域に分割して、道路部分の存在情報を示した道路データを作成する点でしょうか。実施例では、「ニューラルネットワーク40は、図12に示すように、入力層401と出力層402とで構成されている。」とあるので、車両の操作量決定装置は、道路データ作成手段と、ニューラルネットワークとを有し、ニューラルネットワークが入力素子と出力素子とを有するもののようです。

共起ネットワークからは、「ニューラルネットワーク」を含むサブグラフの「道路データ」と、「道路画像」を含むサブグラフの「分割領域」とが関係することを読み取れます。また、共起ネットワークには、「ステアリング」「ブレーキ」「アクセル」に関連する「操作量」がいい感じで表現されているのではないでしょうか。

公報例2の共起ネットワークの「ニューラルネットワーク」、「道路データ」、「道路画像」、「分割領域」の関係の特徴は、公報例1の共起ネットワークの「神経回路網」、「学習」および「衝突」の結びつきなどの特徴と異なります。


自己組織化マップは、読み取るのが難しいですね。共起ネットワークと比べて自己組織化マップの描画には処理時間がかかるので、調整も難しいです。

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作成日時
2021年5月18日15:59

更新日時
2021年5月18日16:38