さとう特許商標事務所

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ニューラルネットワークに関係する自動運転の特許出願

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AIに関係する自動運転の特許出願について見てみましょう。

ニューラルネットワーク関連のG06N3/02の「・ニューラルネットワークモデルを用いるもの」やG06N3/08,140の「・・・バックプロパゲーション」などのFIが付いているものと、自動運転関連のG08G1/16@C「・車載装置のみでおこなうもの」との積集合を取ってみると、現時点で、23件ほどヒットします。

23件の中を見てみると、2012年以降に出願されたものが、21件で、それ以前に出願されたものが、2件です。

一番古いのは、タカタ株式会社の特願平4-229201(特開平6-60300)ですね。これは特許になっています。被引用数も23件中一番多いです。

ちなみに、特許公報の請求項1は、
「走行する車両から視認できる種々の対象物と前記車両とが衝突する直前から衝突発生に至るまでの前記車両から撮像した多種の実写画像を、学習画像データ群として神経回路網に入力して学習演算により前記神経回路網を学習させ、学習完了した神経回路網を衝突予測回路として実車に搭載し、該実車の走行時に撮像手段によりリアルタイムで撮像収集された実画像データを、前記衝突予測回路に所定幅のデータセットで逐次入力し、前記実画像データが学習後の衝突発生の特徴に一致するか否かを、前記神経回路網の学習結果に基づいて前記衝突予測回路で判定し、衝突発生の画像特徴と一致すると認識された場合に、前記神経回路網から衝突発生フラグ信号を車両走行安全保持手段に出力し、前記車両走行安全保持手段が所定の安全保持動作をとるようにしたことを特徴とする神経回路網による衝突予測判定システム。」
となっています。

ニューラルネットワークモデルの学習から、安全保持動作をとるところまで、奇麗に書かれています。衝突予測判定システムが、「学習させ」、「搭載し」、「逐次入力し」、「判定し」、「出力し」および「安全保持動作をとる」という一連の動作で表現されています。

この請求項1は、補正の際に、全文が差し替えられているようで、公開公報の請求項1は、
「自車からの視認可能範囲の景色を衝突直前まで撮像した画像を学習データ群として中間層を有する神経回路網に入力して学習演算により前記神経回路網を学習させた衝突予測回路を有する認識部に、走行時にリアルタイムで車載撮像手段により収集した実画像データを所定幅のデータセットとして逐次入力し、予想される衝突画像の特徴に一致するか否かを前記神経回路網の学習結果に基づき前記衝突予測回路で予測し、衝突画像特徴を示すことが予測された場合に車両走行安全保持手段の動作開始を指令するようにしたことを特徴とする神経回路網による衝突予防予測システム。」
となっています。

特開平4-274935あたりが29条の2で引かれているようです。
引用文献の対比の範囲は全文ですが、参考までに特許請求の範囲の請求項1は、
「車両の走行中において車両の走行路面を撮像し、撮像により得られた道路画像情報を多数の小領域に分割し、この分割された分割領域毎に、この分割領域における道路部分の存在情報を示した道路データを作成する道路データ作成手段と、前記分割領域毎の各道路データを、前記分割領域のそれぞれに対応して入力する複数の入力素子と、前記車両の挙動を決定する操作値を出力とする出力素子とを有するニューラルネットワークとを有することを特徴とする車両の操作量決定装置。」
となっています。

特開平4-274935の出願の出願日は、1991年2月28日で、タカタ株式会社の特願平4-229201の出願日の1992年8月4日から、およそ1年5か月早いですね。特願平4-229201の出願日から2月もたたない、1992年9月30日に特開平4-274935は、公開されています。

やはり、同じような時期に、同じようなことを考えるものです。特許出願は、できるだけ早くするのがおすすめです。

特開平4-274935は、G08G1/04@Dの「・・テレビジョン監視装置〔ビデオカメラの使用,ビデオ信号の処理など〕」やG08G1/09@Vの「・車両の運転を強制制御するもの〔加減速,走行方向など〕」などに分類されています。
特開平4-274935の被引用数も多いですね。

今度は、G08G1/09@Vあたりも見てみましょうか。

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作成日時
2021年4月28日15:43

更新日時
2021年4月28日15:45